Robots with a Mind ロボットにも心を
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ご挨拶

 科学研究費課題「個性を持つロボットの制作による<心と社会>の哲学」(基盤研究B)は、平成27年度~平成30年度 にかけ、柴田正良(金沢大学理事・副学長)を代表者として研究活動を行ってきました。このwebサイトでは、本研究課題を中心に、ここまでに至る研究活動の足跡を皆さまにご紹介いたします。

 なお、これらの一連の研究は、従来の研究メンバーであった長滝祥司教授(中京大学)を代表者とする新たな科学研究費課題「道徳的行為者のロボット的構築による<道徳の起源と未来>に関する学際的探究」に引き継がれています。そちらのwebサイトも、ぜひご覧下さい。

長滝科研のWebサイト

2020年3月 金沢大学 柴田 正良



 私の専門は現代哲学です。そのテーマの多くは「心身問題」に関するものですから、ちょっと見ると、ロボット研究とは余り縁がないように見えるでしょう。しかし、さにあらず。実は哲学には、アリストテレスやデカルトやカントがそうだったように、常に科学の最先端の場所にいて、科学を牽引する役を担ってきたという側面があります(もう一つは、科学と距離をおき、科学に批判的な検討を加えるという側面です)。最近では言語学や認知科学と哲学の関係がそうでした。私がこのようなプロジェクトに関わったのは、そういう哲学固有の理由に加えて、もう一つ、現代の心身問題の一つの極端で典型的な研究方向が「心を持ったロボットの制作」にあるという理由からでした。そういうわけで、私は、わりと以前から自分が関わってきた同様のプロジェクトの延長線上に、この研究プロジェクトを位置づけることができました。

 人間の心についての研究はいまや、人工知能や認知科学、脳科学といった現代科学の連携の下に進められています。私は、哲学の中でも、心は物質的宇宙の一部(つまり脳活動の結果)であり、コンピュータやロボットも、うまく作りさえすれば人間と同じ思考や感情や意図を持てるという立場にコミットしています。そして、このような立場から、理工学系の研究者と共同して、このプロジェクトを進めているのです。

2015年6月 金沢大学 柴田 正良